昨年行った、「3Dプリンタやレーザー加工機などを用いた、これからのものづくりの実例」と題した講演会の中で使用した資料を使ってのWoobyStudioのご紹介ですが、今日はその最終回です。

今日は、レーザー加工機や、CNCフライス装置、そして、最後に、工房ビジネスについても少し触れてみます。

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卓上型のレーザー加工機です。「レーザーカッター」と呼ぶ方もいます。小出力の炭酸ガスレーザーをXYステージに鏡、レンズ等で導き、最終的に集光レンズでスポットを材料に当てるようにします。通常、この対応のレーザーはその出力が20W~50W程度のものが多く、金属等の切断はできませんが、燃えるもの、紙、木材、樹脂、皮等はきれいにカットや彫刻することが可能です。

構造は、インクジェットプリンタと同様で、集光レンズの付いたヘッド部(キャリッジ)がXY方向に移動します。

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各部の写真です。通常、レーザー発振器は後部に搭載されていて、その出力光がレンズと鏡で空間伝搬されます。また、原理的に、材料を「蒸発」させて加工するので、その材料によってはガスが発生します。市街地や室内で使用する場合は、フィルターの入った排気装置が必須となります。また、材料によっては、「煙」も発生します。この「煙」が空間伝搬するレーザー光をさえぎって、強度が足りなくなり、うまく切れない、といったこともあります。さらに、レーザーを導く、鏡やレンズは定常的に清掃が必要です。

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WoobyStudioに設置されているのは、trotec社の”Rayjet”という機種です。これは出力30Wの小型機です。レーザー加工機を設置したデスクの下には、脱臭集塵装置も設置してあります。

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金属を加工するような大型のものは、kWクラスの出力が必要になります。大きな板金加工業者さんでは、金属加工に使用されています。レーザー加工機は、加工ずる材料によって、その出力パワーと、走査の速度を最適になるように調整します。制御ソフトには、材料によっての標準的な出力パワーと速度がセットされています。また、紙や木材等は加工中に発火するため、それを空気の流れで消すための、「エアアシスト」というノズルと、そのためのエアポンプも必要になります。この機械は、3Dプリンタと違って、自宅の部屋でちょっと、というわけにはいかないようです。また、価格も、100万~300万円程度はしています。一部、アジア製の格安機種もあるようですが、それについては、良くわかりません。

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WoobyStudioでは、木製コースターや、螺旋階段のような組み立てキット、アクリルプレートなどの材料が常備されており、いつでも加工することができます。また、皮も切断、彫刻(模様入)が可能です。さらに、専用のゴム板を用いて、「ハンコ」の彫刻もできます。弊社、三鷹事業所の「ヨコ判」はこのレーザー加工機とシャチハタスタンプ台を使って自作しています。

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これは、アガチス材を用いた「螺旋階段」の例です。これについては、Woobyブログ、「第67話 レーザー加工機の作品例」でもご紹介させていただいています。木材の代わりに、同じデータで、アクリル板を加工して、「アナ雪バージョン」も作っています。

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レーザー加工機で過去する手順です。レーザー加工機は、パソコンのプリンタとして認識されますので、CADソフト等で設計したデータを、プリンタドライバで出力する、という作業になります。その際、通常の印刷でしたら、プロパティ等で、用紙サイズ等を設定するのと同様に、レーザー加工機ではレーザーの出力パワーと速度を設定します。加工はカッティングなどの「ベクトル型走査」と、彫刻のための「スキャン型走査」の二つに分かれます。これらの加工方法は、設計時の線の「色」で区分けします。通常、7色程度の色指定が可能で、その色によって、レーザー強度や走査速度を変えることもできます。

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CNCフライスです。フライスとは、金属加工工場に大抵ありますが、エンドミルと呼ばれる「刃」で金属等を切削加工する工具です。しかし、通常の手動フライスは熟練した職人さんでないと、うまく加工することはできません。CNCフライスは、パソコンからのデータで、自動的にXYZの移動をしてくれますので、私のような素人でも加工が可能です。エンドミルによる切削とドリル刃による穴あけ加工ができます。卓上型のレーザー加工機は金属加工はできませんが、CNCフライスは問題なく加工できます。WoobyStudioでは主に、アルミ板やアクリル等の加工に使用しています。また、レーザー加工機に比べて、CNCフライスの方が一般的に加工精度は高いです。

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CNCフライスの使用法も基本的に3Dプリンタやレーザー加工機と同様で、設計、Gコード出力という流れです。私の場合、設計にはJW-CADを使用することがほとんどです。ここで設計したデータをGコードに変換するソフトウエアで変換し、仕上がり等のシミュレーションも可能です。

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フライスによる加工は、3Dプリンタやレーザー加工機と違って、材料を切削していくので大きな力がかかります。つまり、材料の固定が非常に重要となってきます。加工台にねじ止めしたりしますが、両面テープによる固定が一番お手軽です。余談ですが、大月本社から徒歩10秒くらいに、100円ショップがあるため、そこの「しっかりはれて、はがせるタイプ」の両面テープはいつも買い占めています(笑)。ただし、加工は、材料上面から力がかかりますので、加工中に、この両面テープが「がっちり」接着して、加工後に剥がすのが大変です。「シールはがし液」も、常備しています。

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弊社では、エンジニアリング業務においてCNCフライスを多用しています。ちょっとした金属の加工や、アクリル板の加工、また、計測装置のパネルの穴あけには大変重宝しています。大量に作るときには、加工業者さんにお願いしますが、数個程度の試作はすべて自前でやってしまいます。「第62話 CNCフライスでシールドケース試作」は、5mm厚のアルミ板を使って、低ノイズアンプのシールドケースを試作したときのことが書いてあります。こちらもご覧ください。

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レーザー加工機とCNCフライスは、それぞれのメリットを生かして、試作に活躍しています。たとえば、電子計測器のパネルを作るとき、材料はアルミなので最終的にはCNCフライスで加工しますが、その前に、厚紙等を使って、レーザー加工機でカットしてみます、これによって、設計の間違いや穴位置等を確認できます。レーザー加工機のメリットはなんといっても「手軽さ」で、CNC加工機のメリットは「正確さ」です。

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これは、ポータブル放射線検出装置(サーベイメータ)のパネルを試作したときの例です。設計はおなじみ、JW-CADで行っています。その後、いきなりアルミ板を切削するのではなく、コピー用紙や厚紙を使ってレーザー加工機でカットしてみます。そこで、設計に間違いがないことが確認できたら、CNCフライスでアルミ板の切削となります。

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レーザー加工機では、「マーキング剤」という塗料を塗布し、その上からレーザで熱処理を行うと、文字を焼き付けることができます。上の写真は、パネルの文字入れをしたものです。

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ここは番外編。弊社女性スタッフによる、「真空管アンプ製作記」をビデオ紹介いたしました。

「第66話 女性スタッフによる真空管アンプキット作り」をご覧ください。

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WoobyStudioはなにを目指しているか?

昨今、流行の「ものづくり」という言葉を、流行だけで終わらせたくないと考えています。日本は、戦後、この「ものづくり」で成長してきました。最近は、この流れはアジア諸国で活発になり、高性能、低価格の製品が多数輸入されています。

日本においては、「泥臭いものづくり」を敬遠し、「かっこよいディジタルなモノづくり」が主流になってきています。最新のディジタル機器を使用したものづくり自体は良いのですが、その陰にある、「泥臭いものづくり」の部分も大切にしていかなければならないと考えtます。

また、高齢化社会は現実のものになっており、カラダは丈夫だけれど、「生産性の無い老人」が増えてしまうことが予想されます。私自身がその年代なのです。そこで、WoobyStudioは、「知を鍛える」ことを提唱しています。「知」は「智」と書いても、どちらでも良いのですが、要は、「歳をとっても、いっぱい勉強しましょう。手先を使いましょう。常に、向上していきましょう。」ということなのです。

そのための、一つの手段として、一つの場所として、WoobyStudioは生まれました。もし、わたしが、俳句の達人だったら「俳句教室」だったかもしれません。が、たまたま、大好きなモノづくりを生業としているので、「ものづくり工房 WoobyStudio」なのです。

「知を鍛える」ことと、「泥臭いものづくり」、これを実践できる場所、そればWoobyStudioなのです。

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こういった、「ものづくり工房」は、ビジネスとして明確なビジネスモデルがあるとは言えません。強いて言えば、形式的には、「フィットネスクラブ」に近いかもしれません。「フィットネスクラブ」は「健康」を目的として、世の中に認知されています。ランニングや、ウォーキング等、健康を目的として活動することは、「良いこと」として認識されています。その流れで、「フィットネスクラブ」のような「健康志向ビジネス」が成立しています。

もう一つの観点、「知(智)」の部分。これも、今後の高齢化社会においては注目していかなければならないことだと思っています。いくつになっても、「健康」で、「頭が正常(笑)」(まあ、多少記憶力が低下するのは仕方ありませんが・・・)、でありたいと思いますし、これからの若い方々への負担を、最小限にすることも私たちの世代の役目だと思っています。たとえ、サラリーマンが定年退職しても、そこからまた、新たな活動を始め、それによって生活の基盤ができることを目指しています。

そのための一つのテストケース、それが、「ものづくり工房 WoobyStudio」なのです。老若何男女、モノづくりの楽しさ、自由さを知ることにより、結果的に、それが「知を鍛える」ことへつながると考えています。私たちスタッフ一同は、この新しいビジネスに日夜、取り組み、悪戦苦闘しております。

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ご清聴、ありがとうございました。

WoobyStudio、ご見学をお待ちしております!また、モノづくり大好きなスタッフも募集中です!