東京ではサクラが満開です。4月ですね。

フレッシュマンの皆様、入社おめでとうございます。

特に、技術系の皆様、これからプロフェショナルエンジニアとしての長――い修行が始まります。

もう、はるか昔ですが、私が、学校を卒業して、前職の会社に入社したとき、配属先の職場の大先輩から、半分、冗談ではありますが、「士農工商、エンジニアだからな。」とありがたいお言葉を頂戴しました(笑)。

そのときはその意味もよくわからなかったのですが、長いサラリーマン技術者生活を送るうちにその意味もわかってきたことを思い出します。

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技術系企業における研究者・技術者は極めて重要な職務を持つのですが、その地位については「士農工商、エンジニア」という言葉がぴったりかもしれません。が、いまの自分を考えると、「技術者という職業で良かった!」というのが実感であるのも事実です。

今日は、その技術系企業において、技術者や研究者がどういった仕事をしているのかを、「新製品開発(電子機器の場合)」を例にとって簡単にお話ししてみたいと思います。

初めに、その物理的性質等から、要求される機能・性能を得るためのの原理・原則についての調査・研究・実験があります。ここは、自社で開発した技術を用いることもあったり、既存の技術、あるいはその組み合わせであったり、いろいろなケースがあります。また、大学・公的研究機関等と共同研究する場合もあります。いろいろな文献を調査することもあります。実験、試作したり、コンピュータシミュレーションすることもあるでしょう。この部分は開発の中でも、「研究開発(R&D)」とい言われる工程です。これを専門にやっていく人たちが、いわゆる「研究者(職)」です。企業における研究者にとって、製品化(実用化)というのは大きな成果でもあります。大きな会社では、ここのような研究開発部門はコーポレート部門におかれ、全社共通的な基礎研究を行い、以下にお話しする製品開発は各製品担当の事業部という形が多いようです。

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それらの原理から、それを実際の「動作する機器」に仕上げていくのがいわゆる、「開発」の仕事になります。これをやっていくのが、「技術者」ということでしょう。弊社のような、弱小・零細企業においては、研究者兼技術者(兼経営者兼便所掃除)」というのが実態ですが。

こういった、原理・手法に目途が付いたら、これを実用化するための具体的な作業として、

・(装置としての)全体の構成設計、概念設計

・機構設計(デザイン等含む)

・電子回路設計(部品選定、調達含む)

・ソフトウエア設計(機器に内蔵するファームウエアとPCで実行するアプリケーション)

・プリント基板設計

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等の設計の過程があります。「全体の構成設計」は通常、リーダー的な役割の方の仕事になります。その各構成要素についブレークダウンしたものを各担当者やチームに割り振り、これらの作業をほぼ同時進行で進めていきます。

設計の行程では、コストや、製造するときの、工数、部品の調達等についても考慮するのも重要なポイントです。

そして、こういった、設計が完了すると、その後、実際に作っていく作業(試作)が始まります。

・機構部品の加工(外作発注含む)

・プリント基板の組み立て(試作、半田付け、です)

・ソフトウエアの実装、デバッグ

その結果、問題なければ、最終的に、

・調整、特性チェック、総合検査(現場でのチェック等も含む)

・ドキュメント作成(取扱い説明書等)

・量産

・出荷(祝!)

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ということになります。通常の新商品開発ではこんなふうにストーリー通りに進むことはめったになく、何度も紆余曲折を繰り返すことになります。場合によっては、公的認証機関による「認証」等の行程が必要な場合もあります(たとえば、欧州へ輸出する場合のCEマーキングや医療機器の場合、薬事法で規定される検査・認証等)。そのための膨大な試験や書類を作成することもあります。

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また、最後の試験の結果、思ったような性能が得られなくて、一番最初の「原理・手法の確認」に戻って、すべてをやり直さなければならない場合もあります。また、量産品の場合は、製造工場や製造工程に合わせて、設計変更、治具作成、作業者教育等の作業もあります。実は、こういった製品開発におけるリーダーの最も重要な役割は、「うまくいかないとき」の対応にあります。リーダーは常に、「うまくいかない場合」を想定しておき、それへの対応を考えておくことが、プロジェクトを効率よく遂行する秘訣なのです。

後半の作業では、「生産技術」というような、製造工程のための専門技術者が加わってきます。また、出荷のための梱包材や、物流の検討、品質保証に関する検討、準備等も行われます。このころから、営業、マーケティンググループの動きも活発になってきます。

大きな企業においては、これらの行程はリーダーを中心として、いくつかの部署、担当者に分かれて進められていきます。この期間は短いもので、数か月、長いものでは数年の期間を費やすこともあります。

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それぞれの作業は、それぞれの担当者の実績・経験・取組方でその成果は大きく異なってきます。それぞれの担当者やグループが一番進めやすい方法で仕事が進められる場合もあれば、お互いの考え方や方法論の違いから「摩擦」が生じてしまい、ブレーキがかかってくるようなこともしばしば起こります。一般的に、後半の行程で、具体的な「形」が見えてくると、それまでの、研究者・技術者の考え方だけでなく、営業やマーケティング、また、場合によっては、会社トップからの「意見・指示」も増えてくるようです。こういう場合の調整役としてリーダーの存在が大きな意味を持ちます。

皆様が身近のお持ちのスマホだったり、家電製品だったり、パソコンだったり、そういったものはすべてこのような膨大な作業と長い時間の結果生まれてきます。もちろん、自動車等も同様です。

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そういった、地味な、膨大な、かつ、高度な作業を行っている研究者や技術者はいったい、「どんな人たち?」なのでしょうか。

これは、みなさんが毎朝乗ってくる満員電車のなかで、眠たそうな顔をしてつり革にぶらさがっているおじさんだったり、週末の夜、居酒屋で気勢をあげているおにいさん、お姉さんだったり、終電で寝過ごして、奥様に言い訳の電話を入れているパパさんたち、そんな、フツ―の、サラリーマン研究者・技術者たちなのです。ただの酔っ払いじゃあありません(酔っ払いですが・・・)。実はすごいことをしているんですよ!

入社おめでとうございます。日本中の企業の新人技術者(の卵)にエールを送ります!

サラリーマン技術者・研究者に幸あれ!

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お問い合わせ、ご見学をお待ちしております!(って、脈略ないぞ~!)