技術開発にトラブルは付きもの。どんなに細心の注意をはらって設計したものでも、思わぬトラブルが発生します。特に、製品出荷後のトラブルは大騒動になることもあります。そして、そんなとき、いつも思うのが、「ああ、もう少し丁寧に評価しておけばよかった・・」という後悔。開発、設計している段階では、最も重要な課題がいつも頭の中にあり、「ここは、大丈夫だろう。そんなに重要なところでもないし。いつもやってるし・・」と、端折ってしまった部分が後になってトラブルの元凶となってくるのです。なぜ、そういった、「あたりまえの」部分の評価が足りなかったかを考えると、やはり、時間的制約が大きいことがわかります。製品開発の最終段階では、納期や顧客、そして上司のプレッシャーと戦いながら、最重要な評価を優先することになります。必然的に、「あたりまえ」の部分の評価が手薄になってくるのです。

 たとえば、入力と出力の(伝達)特性。単純な話にしてしまうと、たとえば、増幅回路の直流入出力特性があります。利得(ゲイン)エラーが重要な場合、あるいは、直線性(リニアリティエラー)が重要な場合、または、ノイズ(出力値のばらつき、標準偏差等)が重要な場合、はたまた、それらの温度係数、電源電圧依存性が重要な場合、いろいろなケースが想定されますが、それぞれの評価項目自体はそれほど難しくはないのですが、全部をやろうとすると、某大な手数が掛かることがしばしばあります。結果的に、「手抜き」となってしまい、思わぬトラブルに発展していくのです。

 技術者の「力量」は、この、「評価をどれだけ完璧に行えるか」だと思います。時間をかけずに、ぬかりなく、最低限の工数でこれらの評価を行っていくためには、普段からその準備をしておくことが重要です。そう、「自動計測」の仕組みを確立しておくことです。たとえば、標準電圧/電流発生器とDMMを組み合わせたシステム、あるいは、それに恒温槽や温度計を組み合わせたシステム、場合によっては、信号発生器やスペアナ、デジタルオシロスコープ、そういったものを、PCからコントロールして必要なパラメータを与えることによって自動計測するシステムを用意しておくことが肝心です。もちろん、日々の業務の中でそんなことやってられない、という理屈も理解できますが、1年365日、いつかは「暇な」時間もあるはずです。そんなとき、いままでの失敗を思い出したり、やこれからのの仕事を想定して、手早く、評価のための「自動計測」システムを作っておきましょう。これが、技術者の大きな財産となっていきます。これが、「差」をつける秘訣なのです。